あと3ヶ月!!!?
本当に始まるのか?この制度?
穴だらけの制度だと思いますが、皆様いかがでしょうか?
今回は業種を絞って、インボイス制度がどのような影響が生じるかを検討していきます。
永遠の課題 ~給与か外注費か~
実はお店がホステスに支払う金銭は、性質によって税務処理が変わってきます。
いわゆる給与か外注か問題です。
基本的にはお店の方がパワーが強いと思うので、お店が有利となる外注費として処理をするのが通常でとなります。
”ホステス報酬 源泉”と調べると検索で次のページが見つかります。
No.2807 ホステス等に支払う報酬・料金
計算方法・計算式
源泉徴収の方法
源泉徴収すべき所得税および復興特別所得税の額は、報酬・料金の額から同一人に対し1回に支払われる金額について、5,000円にその報酬・料金の「計算期間の日数」を乗じて計算した金額(同月中に給与等の支払がある場合には、その計算した金額からその計算期間の給与等の支給額を控除した金額)を差し引いた残額に10.21パーセントの税率を乗じて算出します。
この「計算期間の日数」とは、「営業日数」または「出勤日数」ではなく、ホステス報酬の支払金額の計算の基礎となった期間の初日から末日までの全日数です。
(注)求めた税額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。
No.2807 ホステス等に支払う報酬・料金|国税庁 (nta.go.jp)
この計算方法だとホステス報酬は事業所得=外注費という認識が原則なのかなと思います。
私の知る限り、給与だとこんな計算式で源泉徴収はしないはずです。
しかし、支払いの実態を考慮しホステスへの支払いは給与として処理することが適正と税務調査を受け、納得のいかないお店側が訴訟を起こしす事例が多々あります。
冒頭お伝えした通りお店側は外注費として扱った方がメリットが多いので、訴訟にまで発展してしまいます。
お店側とホステス側でのメリットデメリット
では、実際にお店側とホステス側でどんなメリット・デメリットがあるかを比較してみます。
赤をメリット、青をデメリットとします。
1、外注費の場合
お店(法人) | ホステス | |
所得税 | ー | 確定申告が必要 |
消費税 | 仕入税額控除の利用が可能 給与と比較し、納税額が少なくなる | 納税義務が生じる ※ 免税事業者が多いかと思います |
社会保険料 | 役員のみ加入 | 自身で加入、全額負担 |
ホステス側ばかりデメリットが発生していますが、仮にホステス側が確定申告を放っておくとデメリットが全てなくなります。
ただし、その後税務調査が来てペナルティが多額になる可能性があるので、確定申告を放っておくのはやめましょう。
2、給与の場合
お店(法人) | ホステス | |
所得税 | ー | 確定申告が基本的に不要 |
消費税 | 仕入税額控除の利用ができない 外注費と比較し、納税額が多くなる | 納税義務が生じない |
社会保険料 | ホステス分も含め全員加入 負担が増える | お店で加入、会社と折半 |
こんな感じで実は、外注の方がお店側でメリットが多く、お店は外注費として扱いたい。
でも税務署は給与として処理することが適正と指導してくる。
このせめぎあいがざっくりとした給与か外注か問題です。
インボイス制度がはじまるとどうなるのか
では、インボイス制度が始まった後の世界はどうなるのか。
給与の場合は影響はないと思われるので、外注でホステス側がインボイス制度に①登録する②登録しないで検討します。
1、インボイス制度に登録する場合
お店(法人) | ホステス | |
所得税 | ー | 確定申告が必要 |
消費税 | 仕入税額控除の利用が可能 | 納税義務が生じる |
社会保険料 | 役員のみ加入 | 自身で加入、全額負担 |
2、インボイス制度に登録しない場合
お店(法人) | ホステス | |
所得税 | ー | 確定申告が必要 |
消費税 | 仕入税額控除の利用ができない | 免税事業者の立場を守れる |
社会保険料 | 役員のみ加入 | 自身で加入、全額負担 |
結論
いかがでしょうか?
お店側とホステス側の利害が見事に分かれてしまいました。
お店側が複数人のホステスを使っている場合、更に管理の面でも問題になるかと思います。
Aさんはインボイス制度、Bさんはインボイス未加入という状況で報酬計算が複雑になるとお店側は統一したくなるのではないでしょうか?
統一をする場合は、インボイス制度に登録してもらう方に統一になりそうですよね。
ただ、やり方を間違えると下請法にも抵触します!
下請法に抵触せず、インボイス制度に登録してもらえるようになったとしてもホステス側は何を考えるのか。
辞める若しくはインボイス制度に登録しなくてもいいお店に転籍するんじゃないんですかね?
雇用を確保するために、給与扱いにしてしまう方法も考えられるのかな?
あんまり詳しくないので業界のルール・慣習から何か手段があるのかもしれませんが、業務で決算チェックを見ていた時にふと思ったことをまとめました。
夜の繁華街の文化も変わってしまうかもしれませんね。
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