2024年は、生前贈与のルールが大きく変わる年です。
今回の改正は、相続税の負担増額を目指しており、多くの家族にとって重要な影響を与えることが予想されます。
この記事では、最新の改正内容をわかりやすく解説し、どのように資産を賢く移転するかについてのポイントをお伝えします。これからの贈与に備えて、必要な知識をしっかりと身につけましょう。
1、生前贈与とは?
生前贈与とは、生前に自分の財産を他の人(通常は子供や孫などの家族)に移転することを指します。これにより、贈与者が亡くなった後に行われる相続ではなく、生きている間に財産を移転することができます。
(贈与)
第五百四十九条 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
民法 | e-Gov法令検索
2.生前贈与のメリット・デメリット
生前贈与のメリットとデメリット
メリット:
- 相続税の軽減: 適切に計画すれば、相続税の負担を減らすことができます。
- 受贈者の支援: 生前に資産を贈与することで、子供や孫の教育資金や生活資金をサポートできます。
デメリット:
- 贈与税の負担: 贈与税がかかるため、大きな金額を一度に贈与すると高額な税金が発生する可能性があります。
- 生活資金の減少: 生前に多額の財産を贈与すると、自分の老後資金が不足するリスクがあります。
3、相続税との関係
生前贈与を行うことで贈与者の財産を減らして、相続開始時点において資産を0に近づければ相続税を回避することができるのでは????
こんな考えを持つ人も当然に出てくるかと思いますが、ここでストップが入るのは次の規定です。
概要
相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与(「相続等」といいます。)によって財産を取得した人(※)が、被相続人から加算対象期間(注)に暦年課税に係る贈与によって取得した財産があるときは、その人の相続税の課税価格にその財産の贈与時の価額を加算します
No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)|国税庁 (nta.go.jp)
生前贈与を行うことで、相続財産を減らし、結果として将来の相続税を軽減することができる場合があるため、相続開始前〇年以内の贈与は相続税の課税対象となるという規定です。
簡単に言うと、〇年間は生前贈与をなかったものと考えて相続税の計算を行ってくださいということです。
4、改正内容の詳細
ずばり大きな改正があったところだけ…。
- 以前 法定相続人に対する贈与の内、相続開始前3年以内の贈与は相続税の課税対象となる。
- 今後 法定相続人に対する贈与の内、相続開始前最長7年以内の贈与は相続税の課税対象となる。
目的は税負担の公平を図るため?「相続税と贈与税の一体化を目指す」?とのことです。
実質的に増税です。
5、こんなにも影響が!改正による影響額を試算!!
- 相続開始時点の資産額 1億円
- 配偶者無し、子供3人
- 子3人に毎年100万円の贈与
- 生前贈与加算は最長の7年間にて試算
基礎控除改正前 | 生前贈与改正前 | 今後 | |
総資産額 | 100,000,000 | 100,000,000 | 100,000,000 |
生前贈与加算金額 | 9,000,000 | 9,000,000 | 21,000,000 |
基礎控除額 | △80,000,000 | △48,000,000 | △48,000,000 |
相続税額 | 2,900,000 | 7,650,000 | 9,450,000 |
実効税率 | 2.6% | 7.0% | 7.81% |
なかなか厳しい結果となりました。政治への不信感はますます強くなりそうです。
6、まとめ
今回の改正では、生前贈与加算について対象期間が3年から7年になるとお伝えしました。
ただし注意点としては、法定相続人に対する生前贈与がこのルールの対象となります。
法定相続人以外の生前贈与はまだまだ対象外なんですね~。(孫への生前贈与とかはいかがでしょうか?)
次回はもう一つの改正”相続時精算課税”について記載しようと思います。
改正内容をしっかり理解すれば、賢く資産を移転するための準備をすることができるので情報収集は小まめに行いましょう。
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